「推し」がいる会社と、いない会社。何が違うのか?
社員・顧客・候補者から「推される企業」になるための、言葉の力。
突然ですが、あなたには「推し」がいますか?
アーティスト、スポーツ選手、あるいは特定のクリエイター。「推し」がいる人は、その人の情報を自分から熱心に探しに行きます。ライブがあれば遠くても足を運び、新商品が出れば迷わず手に取る。そして、頼まれてもいないのに周りの人に「これ、すごくいいんだよ!」と熱っぽく語ってしまう。
ここで重要なのは、「ファン」と「推し」は似て非なるものだということです。
- ファン:提供されるサービスや商品を、受け取って楽しむ「受動的な存在」
- 推し(のいる人):その対象を自ら応援し、魅力を広め、支えようとする「能動的な存在」
実は、これからの時代の企業経営(特に中小企業の採用や組織づくり)において、この「推し(=熱狂的なサポーター)」が社内外にいるかどうかが、企業の成長スピードを決定的に分けます。
「推し企業」を持つ人が、広告費ゼロの「自走する力」を運んでくる
少し想像してみてください。あなたの周りに、「あの会社、本当にいい会社なんだよ」と熱量を持って話す人はいますか?
その人は、製品をリピート購入するだけでなく、自発的に友人に勧めます。その会社の求人を見つけたら、転職を考えている知人に教えます。会社のニュースを自分から読みに行き、SNSでシェアします。
これが、「推し」がいる会社に起きていることです。
- 広告費をかけなくても、魅力が勝手に広がっていく
- 高い採用コストをかけなくても、優秀な人が集まる
- 強引な営業をしなくても、質の高い紹介(口コミ)が生まれる
「推し」がいる企業には、お金では決して買えない「組織が自走する力」が宿っているのです。

「推される企業」と「推されない企業」、たった一つの決定的な差
では、推される企業とそうでない企業は何が違うのでしょうか。会社の規模や知名度、あるいは製品の品質でしょうか?
答えは、もっと根本的なところにあります。 一言で言えば、「この会社が何を大切にしているか(企業理念やパーパス)」が、相手に届く言葉になっているかどうか。たったこれだけです。
「推される企業」は、自社の価値観や想い、独自の「らしさ」が明確な言葉になっていて、それがブレずに発信され続けています。だから、受け取った側は「この考え方に共感する」「応援したい」という感情的なつながりを感じ、能動的に動きたくなるのです。
一方で「推されない企業」は、製品のスペックや条件(待遇)は伝えていても、その奥にある「想い」が伝わっていません。どれだけ良い商品でも、大義名分や想いが見えなければ、人は「応援したい(推したい)」という熱量を持てないのです。
最も強力な「推し」は、顧客ではなく「社内(社員)」にいる
ここで、多くの経営者が見落としがちな事実があります。「推し」は、社外(顧客や採用候補者)だけに作ればいいものではありません。
まず社内にこそ、最強の「推し」が必要です。
自社のことを心から「推せる!」と思っている社員(エンゲージメントの高い社員)が増えると、何が起きるでしょうか。 「うちの会社、本当にいいんだよ」「ここで働けて、私は幸せなんだ」 そんな言葉が、日々の会話や個人のSNSの中で自然と溢れ出します。
社員の口から語られる本音の言葉は、どんな高価な求人広告よりも深く、求職者の胸に届きます(インナーブランディングの効果)。逆に、社員が自社のことを「まあ、普通の会社です」としか言えないのなら、外側に向けてどれだけ華やかな採用ブランディングをしても、その言葉に温度は宿りません。
内側(インナー)から「推し」が生まれている会社は、採用市場でも組織運営でも、何よりも強いのです。

「推し」は作るものではなく、経営者の「言葉の整理」から生まれるもの
「推される企業」になるために、まず何をすればいいのか。派手なプロモーションや、流行りのSNSマーケティングを始めることではありません。
人間の体を整えるときも、まずは土台となる骨盤や体幹から整えます。組織も全く同じです。まずは土台となる「私たちは何を大切にし、どこへ向かうのか(パーパス)」を、徹底的に言葉にして整えること。これが出発点です。
- 自社はなぜ存在するのか(存在意義)
- どんな未来をつくりたいのか(ビジョン)
- どんな人と共に歩みたいのか(求める人物像)
これらが血の通った言葉になり、社内に深く浸透し、社外へと誠実に滲み出していく。そのシンプルなプロセスの中で、一人、また一人とあなたの会社の「推し」が生まれていきます。
「推し」は、テクニックで無理やり作るものではありません。経営者の本物の想いを、本物の言葉で伝え続けた先に、自然と集まってくるものなのです。
あなたの会社には、いま「推し」がいますか? もし、その答えに迷うのであれば、そこが「言葉を整える」という、組織への最高の投資を始めるべき場所かもしれません。
よくある質問(FAQ)
Q. 企業理念を言語化すると何が変わりますか?
A. 企業理念や価値観が明確になることで、採用・育成・評価・営業活動の判断基準が統一されます。社内外に一貫したメッセージが伝わることで、会社を応援してくれる「推し」が増える土台が整います。
Q. 会社の教科書とは何ですか?
A. 企業の理念、価値観、歴史、判断基準、求める人物像などを整理した組織運営の指針です。これを社内で共有することで、社員が自社の価値観を深く理解し、自走する組織へと変化します。
Q.企業の存在意義を作るメリットは何ですか?
A. 社員の共感を生み、組織の一体感やエンゲージメント向上につながります。「この会社で働く意味」が言葉になるため、社員が自社を「推せる」ようになる最大のきっかけとなります。
Q. なぜ離職率改善につながるのですか?
A. 入社前後の期待値のズレ(カルチャーギャップ)が減り、企業文化への共感度が高まるためです。自社のリアルな想いを言葉にしておくことで、ミスマッチのない採用が実現します。
プロフィール 株式会社three jobs 代表取締役 矢間あや
「理学療法士」経験を活かし、企業の組織課題を根本から整える支援を行なっています。
公式HP:https://three-jobs.com/
コラム一覧:https://aisare-co.com/column1/


