人的資本経営が「施策」で終わる理由
人的資本経営が失敗する会社ほど、施策から入る。
「人的資本経営が大事らしい」
「健康経営がいいらしい」
そう聞いた経営者が、
「よし、うちもやろう」
と、研修や健康施策、福利厚生を始める。
でも社員は、
「また何か始まった」
「またやらされるの?」
という顔をする。
そしてしばらくすると、
「結局、研修やっても意味ないよね」
となる。
でも、ここで問題なのは、
本来、人的資本経営は経営戦略である、という視点が抜け落ちていること。
経産省も、人的資本経営や健康経営を、企業価値や生産性につなげる「経営」として位置づけています。(※1、2)
私は現在、睡眠をテーマに講演や企業研修をしています。
ただ、私が扱っている睡眠は、眠れない人を眠れるようにすることを目的にしたものではありません。
研究でも、睡眠不足は、注意力やワーキングメモリ、判断、感情のコントロールなど、仕事に必要な機能に影響することが示されています。(※3)
だから私は、
「睡眠は経営戦略であり、ビジネススキル」
と伝えています。
睡眠が大事だと分かっても、それだけでは経営にはつながりません。
社員にとって大切なのは、
「なぜ、うちの会社がこれをやるのか」
がつながっていることです。
なぜ人に投資するのか。
どんな会社をつくりたいのか。
何を大切にするのか。
どこへ向かうのか。
結局、こうした施策も、
「この会社は何のために存在するのか」
「どこへ向かうのか」
という企業の原点から設計しなければ、点の施策で終わってしまいます。
逆に、
「だから、うちの会社はこれをやるんだ」
までつながれば、施策に意味が生まれる。
そして、この問題は社内だけでは終わりません。
会社の中が整理されていなければ、外に何を伝えるのかも定まりません。
人的資本経営も、結局は企業の土台から始まる。
参考文献
※1 経済産業省「人的資本経営」
https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinteki_shihon/index.html
※2 経済産業省「健康経営」
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenko_keiei.html
※3 睡眠不足と認知機能・感情調整に関する研究
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12168795/

