「言葉」を整えただけで、会社が変わり始めた?

新しい施策は、何も始めていない。それでも、会社が動き出した理由。

「何か新しいことを始めたわけじゃないんです。ただ、言葉を整えただけで。でも、会社が変わり始めました。」

支援を終えてしばらく経った頃、ある会社の経営者の方から、そんな連絡をいただきました。その言葉が、ずっと頭に残っています。

その会社が抱えていた問題

その会社は創業10年を超える、従業員30名ほどの会社でした。サービスの質には自信がある。社員も、悪い人はいない。経営者自身も、誠実な方でした。

でも、こんな問題が重なっていました。

  • 採用に出しても、なかなか「合う人」が来ない。
  • せっかく採用しても、1〜2年で辞めてしまう。
  • 新しいメンバーに仕事を任せようとすると、「どこまでやっていいかわからない」と言われる。
  • 営業しても、「他社と何が違うのかわからない」と言われる。

まさに、組織の歯車がうまく噛み合っていない状態でした。

「うちの会社、何が問題なんでしょう。」

最初にお会いしたとき、経営者の方はそう言いました。

私は少し考えてから、こう聞き返しました。

「御社って、どんな会社ですか? 一言で言えますか?」

少し間がありました。

「……いい会社だと思うんですが、うまく言えなくて。」

それが、すべての出発点でした。

「言葉にする」プロセスで起きたこと

ご支援では、経営者(経営者層)だけでなく、現場のプロジェクトメンバーも一緒に、自社の言葉を整えていきました

創業の想いを聞く。どんな瞬間に「うちらしい」と感じるかを話し合う 。逆に「うちらしくない」と感じる場面も出し合う。どんな人と働きたいかを、具体的に言葉にする

このプロセスの中で、いくつかの場面が印象に残っています。

経営者が創業の想いを話したとき、古参の社員が言いました。

「そういう気持ちで始めたんですね。知りませんでした。」

経営者は驚いていました。

「え、話したことなかったっけ。」

話していなかったんです。頭の中にはあったけれど、明確に言語化して伝えたことがなかったんです

逆に、現場のメンバーが「うちらしい」と感じる場面を話したとき、経営者が目を細めていました 。 「そういうふうに見てくれていたんだね。」

経営者が思っている「うちらしさ」と、社員が感じている「うちらしさ」が、実はほとんど一致していたんです 。それが言葉になったことで、初めてお互いの「理解と共感」が繋がった瞬間でした

言語化の土台が整った後、何が変わったか

そうして情報の整理と言語化を行い、全ての情報をまとめた「会社の教科書」が完成して数ヶ月が経った頃から、少しずつ変化が起き始めました

まず、変わったのは採用でした。 求人票に、スペックや条件だけでなく、「どういう人と働きたいのか」「何を良しとする会社なのか」という自社の価値観を正直に書くようにしました 。すると、応募の総数は変わらなくても、面接で「まさに自社が求めていた人だ」と共感し合える人材が明らかに増えたそうです

次に変わったのは、社内でした。 新しいメンバーが入ったとき、「どこまでやっていいかわからない」という迷いが消えました。「『会社の教科書』を渡したら、企業の向かう方向性や行動の軸を自分たちで理解し、自走して動いてくれるようになった」と、経営者の方は嬉しそうに言っていました

そして、営業でも変化がありました。 「他社と何が違うのか」と聞かれたとき、以前はうまく答えられなかった現場メンバーが、「うちはこういう存在意義(パーパス)と価値観で仕事をしています」と、自分の言葉で堂々と説明できるようになったとのこと 。結果として社内外の説明力が向上し、受注率のアップに繋がったそうです

では「言葉を整える」とは、何をすることか?

この会社が特別だったわけではありません。もともと、いい会社でした。いい人たちがいました。いい仕事をしていました。

ただ、それが「言語化」されていなかっただけなんです

言葉になっていないものは、伝わりません。共有もできません。だから、社内外の共感を呼ぶこともできません

言葉を整えるとは、新しい何かをゼロから捏造することではありません。すでにそこにある「自社らしさ」という最高の資産を、見えるようにすることです

この会社にあった「いいもの」が言葉になった瞬間から、内側に浸透し始め、外側へも一貫して伝わり始めました 。そしてそれだけで、会社の中にたくさんの“推し”(=ファンや熱心な仲間)ができ、組織が劇的に動き出しました

あなたの会社にも、言葉にできていないものがあるはずです

「うちの会社、何が問題なんだろう」と、もし今感じているなら、一度だけ立ち止まって考えてみてください

問題があるのではなく、ただ「言葉になっていないだけ」かもしれません

あなたの会社のいいところ、ここで働く意味は、ちゃんとそこにあります 。 ただ、まだ言葉になっていないだけです。

言葉になった瞬間から、会社は新しく動き始めますよ。

株式会社three jobs 代表取締役
矢間あや
https://three-jobs.com/

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