伝えているのに、なぜ会社の価値が伝わらないのか

発信もしている。
営業もしている。
採用にも取り組んでいる。

それなのに、「自分たちの会社の価値が、思ったほど伝わっていない」と感じる企業は少なくありません。

会社の価値を伝えようとして、SNSを始める。
広告を出す。
採用サイトをつくる。
営業資料を整える。

それでも結果につながらない。

その原因は、伝え方だけにあるのではありません。
もっと手前に問題があることがあります。

■これまで重視されてきたのは、「売る」「集める」「数字を見る」こと

これまで企業は、

どう知ってもらうか。
どう集めるか。
どう売るか。

というマーケティングの考え方を強く取り入れてきました。

PV、CV、問い合わせ数、売上など、数字で成果を見ることも当たり前になっています。

もちろん、マーケティングも数字も大切です。

ただ、今はそれだけでは足りなくなってきています。

■なぜ今、「知ってもらう」だけでは足りないのか

理由の一つは、情報も選択肢も増えたことです。

広告だけではなく、SNS、口コミ、比較サイト、社員の発信など、企業について触れる場所が増えました。

そのため今は、

「この会社を知っている」

だけでは、人はなかなか動きません。

その会社は何を考えているのか。
何を大切にしているのか。
言っていることと、やっていることは一致しているのか。
信用できる会社なのか。

そこまで見られるようになっています。

つまり、知ってもらうだけではなく、理解してもらう。
理解が積み重なって、信頼につながる。

そしてその先に、

「この会社のために何かしたい」
「応援したい」
「誰かに紹介したい」

という人が生まれていきます。

私は、こうした状態を「推し」だと考えています。

ファン:自分視点/推し:あなたのために行動する。

■人は、知っただけでは動かない

人が行動するまでには、

知る

理解する

信頼する

「この会社のために何かしたい」と思う

行動する

という流れがあります。

その行動が、

買う。
応募する。
紹介する。
一緒に仕事をする。
応援する。

につながっていきます。

つまり、認知を増やすだけではなく、信頼が積み重なり、相手が自ら行動したくなる状態をつくることが重要です。

■大切なのは、「誰にどう伝わるか」

もう一つ大切なのは、誰にでも広く知られればいいわけではないということです。

社員。
顧客。
求職者。
取引先。

自社にとって大切な相手に、

「この会社は何を大切にしているのか」
「どんな会社なのか」

を理解してもらうことの方が重要です。

認知の量だけではなく、

誰と、どんな関係を築いていきたいのか。

そこまで考える必要があります。

■「売ること」と「関係を育てること」の両方が必要になる

売ることはもちろん大切です。

でも、売ることだけを考えるのではなく、

相手にどう理解してもらうか。
どう信頼を積み重ねるか。
どんな関係を築いていくか。

そこまで考える必要があります。

企業と社員、顧客、求職者、取引先などとの良い関係を築いていく考え方を、**Public Relations(パブリックリレーションズ)**といいます。

マーケティングが、

「どう売るか」
「どう選んでもらうか」

を考えるものだとすると、

Public Relations(パブリックリレーションズ)は、

「誰と、どんな良い関係を築いていくか」

を考えるものです。

これからの経営者は、どちらか一方ではなく、両方を理解し、両輪で考える必要があります。

■「数字」だけを見ていると、会社はずれていく

数字を追うこと自体が悪いわけではありません。

ただ、短期の数字だけで判断すると、

すぐに数字にならない活動を切る。
誰にでも広く届けようとする。
発信量は増えるのに、会社への理解は深まらない。

ということが起こります。

場合によっては、短期成果を取りにいくことで、長期的な信頼を削ってしまうこともあります。

■KPIは必要。でも、KGIを見失うと意味がなくなる

PV。
CV。
問い合わせ数。
売上。

こうしたKPIは必要です。

でも、その数字を何のために追っているのか。

そこを見失ってはいけません。

本当に目指しているのは、

信頼される会社になること。
選ばれる会社になること。
応募される会社になること。
紹介される会社になること。

KPIは、そこに向かう途中にある数字です。

■さらに手前に、「自社が整理されていない」という問題がある

そして、もう一段手前に問題があります。

多くの会社は、

「採用を強化しよう」
「SNSを始めよう」
「営業資料を変えよう」
「オウンドメディアをつくろう」

と、いきなり「伝えること」から始めます。

でも、そもそも自社について整理できていなければ、何を伝えるべきか決められません。

その状態で発信を増やしても、媒体ごと、部署ごと、担当者ごとに言っていることが変わり、結果につながりにくくなります。

だから、伝える前にまず整理する。

何のために存在する会社なのか。
何を大切にしているのか。
誰に、どんな価値を提供しているのか。
何が強みなのか。
どこを目指しているのか。

「何をどう伝えるか」の前に、「自分たちは何者なのか」を整理する。

ここが、すべての土台になります。

多くの企業がここを飛ばして、いきなりSNS、採用、営業、広告といった「伝える手段」から始めてしまうから、発信しても内容がそろわず、結果につながりにくくなります。

■伝える前に、まず会社を整理する

身体の不調を改善するときも、痛い場所だけを見て、いきなり対処するわけではありません。

なぜそこに負担がかかっているのか。
どこに原因があるのか。
全体を見ながら整理して、必要な改善を考えます。

企業の課題も同じです。

「採用がうまくいかない」
「営業が弱い」
「発信しても伝わらない」

こうした表面の問題だけを見て、すぐに施策を足しても、根本原因が別の場所にあれば結果にはつながりにくい。

だから、まず会社そのものを整理する。

SNSも、オウンドメディアも、採用も、営業も、すべて手段です。

その前に、

自社は何者なのか。
誰と、どんな関係を築きたいのか。

そこを整理する。

その土台があって初めて、

何を伝えるのか。
誰に伝えるのか。
どの手段を使うのか。

が決まります。

会社の価値は、発信量だけでは伝わりません。

売る仕組みだけでも足りません。

自社を整理し、理解され、信頼される状態をつくること。

これからは、その視点がますます重要になります。

もし、発信も営業も採用もしているのに「なぜか会社の価値が伝わっていない」と感じるなら、伝え方を増やす前に、自社が何者なのかを一度整理してみるといいかもしれません。

弊社では、こうした整理から伴走しています。