「理念は掲げるもの」と思っているなら、このリスクを知ってほしい。

「最近、なんだか会議の空気が重くて……。」

ある経営者の方が、困惑した表情でそう漏らされました。 売上は悪くない、人間関係も悪くない 。けれど、なぜか議論が噛み合わず、新しいアイデアが生まれない 。誰かが発言しても、場が動かない。

「雰囲気を変えようと研修も取り入れましたが、期待したほどの効果はなくて」とおっしゃるその方に、私は一つの確認をしました。

「社員の皆様の頭の中で、『自社の存在意義』は正しく言語化されているでしょうか?」

言語化できない組織は、「酔っ払い」と同じ状態で動いている

実は、情報の整理と言語化がなされていない組織の状態は、科学的に見れば非常に危険な状態にあります。

睡眠を例にすると分かりやすいでしょう。
研究データによると、17〜19時間の連続起床状態(睡眠不足の状態)にある人の脳は、血中アルコール濃度0.05%と同等のパフォーマンス低下をもたらすことが証明されています。
これは、日本で「酒気帯び運転」として免許停止の対象となる基準値(0.03%)を遥かに超える数値です 。

情報の言語化がなされていない組織も、これと同じです。 「自社が何を目指し、何を良しとするのか」という根幹(本質)が曖昧なまま働くのは、いわば正常な判断能力を失ったまま、暗闇を走り回るようなものなのです 。

  • 現場での判断がブレ、ミスマッチが起きる
  • 集中すべき優先順位がわからなくなる
  • 感情的な対立が起き、チームの調和が乱れる

会議が噛み合わないのは、個人の能力不足ではなく、立ち返るべき「本質」が言語化によって共有されていないからなのです 。

1人の「理解のズレ」が、組織全体に連鎖する

情報の未整理が生むリスクは、その個人1人では完結しません

自社の理念を自分の言葉で語れない上司がいれば、部下への指示は曖昧になります 。自社の価値(らしさ)を言語化できていない担当者は、外部に対しても「どこにでもある言葉」でしか語れません

この「言葉の迷い」が不信感を生み、組織全体の士気を下げ、結果として営業効率や生産性を著しく低下させていきます 。

「言葉の乱れ」がもたらす、膨大な経済損失

数字で捉えるとさらに明白です。
睡眠不足が社員1人あたり年間約35万〜50万円の損失を生むように、情報の言語化がなされず、社員が「ここで働く意味」を見失うことで起きる生産性低下のコストは膨大です 。

100人規模の組織で、もし多くの社員が「情報の迷子」になり、本来のパフォーマンスを発揮できていないとしたら 。その損失額は、年間で数千万円規模にのぼることも珍しくありません

それでもまだ、「理念の言語化は、余裕がある時にやればいいこと」と言えるでしょうか 。

言葉が整えば、人は再び挑戦できる

私が理学療法士として2万人以上の患者様と向き合う中で確信したのは、身体の状態が整うと人は自然に前を向き始めるということでした 。 そしてこれは組織においても同じ事が起こるということ。

会社の進むべき道が明確になり、自らの役割を確信できた時、人は自ずとアイデアを出し、リスクを恐れず挑戦し、仲間と共鳴することができます

組織に活力がないと感じるなら、一度だけ立ち止まって確認してみてください。

「私たちの想いは、正しく言語化されているか」

それだけで、会社は「愛され企業」へと劇的に変わり始めるはずです 。

矢間あや
株式会社three jobs 代表取締役
https://three-jobs.com/