社員が自社を語れない会社で、何が起きているのか

社員が自社を語れる状態をつくることは、単なる会社紹介や情報発信ではありません。
会社の価値や判断基準を社員が理解し、自分の仕事に結びつけ、社内では判断や行動に使い、社外では顧客・求職者・取引先などに伝えられる状態をつくることです。

これは、組織づくりであり、人的資本経営であり、「伝える」という経営戦略の一つでもあります。

「あなたの会社って、どんな会社ですか?」

そう聞かれたとき、社員は何と答えるでしょうか。

「〇〇をしている会社です」
「〇〇業です」

事業内容は言える。

でも、

「何を大切にしている会社なのか」
「なぜこの仕事をしているのか」
「他社と何が違うのか」

まで、自分の言葉で話せる社員はどれくらいいるでしょう。


1.社員が自社を語れない会社で起きること

社員が自社を語れない状態では、会社の中でも外でもズレが起きます。

営業では、人によって会社の説明が違う。
採用では、面接する社員によって伝える魅力が違う。
社内では、何か判断するたびに上司や社長に確認する。
社外では、接する社員によって会社の印象が変わる。

これは、単純に「社員が会社を理解していない」という話ではありません。

そもそも、

会社として何を大切にするのか。
何を基準に判断するのか。
誰に、どんな価値を届けるのか。

が整理され、共有されていない可能性があります。


2.社長の頭の中にあるだけでは、まだ組織で使える力にはなっていない

経営者の中には、

「うちは、こういう会社にしたい」
「こういう仕事を大切にしたい」
「こういうお客様に価値を届けたい」
「こういう判断はしたくない」

という考えがあります。

その考え自体がないわけではありません。

ただ、それが社長の頭の中にしかなければ、社員はその基準を日々の仕事で使うことができません。

社員に語ってもらう前に、会社自身が語れる状態をつくる

社員に会社を語ってほしいのであれば、その前に、

「私たちは何のために存在するのか」
「何を大切にするのか」
「誰に、どんな価値を届けるのか」
「何を基準に判断するのか」

を整理する必要があります。

社員が語れない原因を、社員側だけに求めないことも重要です。


3.「語れる」は、理解している証拠

社員が自社を語れるということは、理念や会社案内を暗記しているということではありません。

会社の考えを理解し、

「だから、自分の仕事ではこうする」
「だから、このお客様を大切にする」
「だから、このやり方は選ばない」

と、自分の仕事に結びつけられることです。

語れるようになると、判断も変わる

会社の考えを理解していれば、社員自身が、

「この場合、うちの会社ならどうするか」

を考えられるようになります。

つまり、

語れる会社は、判断できる会社でもある。

ということです。


4.会社の価値が「社長の頭の中」から「組織の力」に変わる

会社の考えが組織の力になるまでには、段階があります。

社長の頭の中にある考え

言葉になる

社員が理解する

自分の判断に使う

行動や説明がそろう

ここまでいくと、会社の価値や判断基準は、社長だけのものではありません。

社員それぞれが、自分の仕事の中で使えるものになります。

会社の価値が、社長の頭の中にあるだけのものから、社員が使える組織の力に変わっていく。

私は、社員が自社を語れる状態をつくる意味は、ここにあると思っています。


5.社員が語れると、社外への伝わり方も変わる

会社を伝えるのは、経営者や営業担当だけではありません。

社員一人ひとりが、

顧客
取引先
求職者
地域
行政
その他さまざまな人

と接しています。

誰と接しても、同じ会社らしさが伝わる

伝え方まで全員同じである必要はありません。

むしろ、それぞれが自分の言葉で語った方がいい。

ただし、その根っこには共通した考えが必要です。

誰と接しても、

「この会社は、こういうことを大切にしているんだな」

という会社らしさが伝わる。

これは、会社への信頼につながります。

伝わることで、選ばれ方も変わる

顧客には、

「なぜ、この会社にお願いするのか」

求職者には、

「なぜ、この会社で働くのか」

取引先や地域には、

「この会社は、どんな考えを持つ会社なのか」

が伝わる。

その積み重ねが、

「この会社にお願いしたい」
「この会社で働きたい」
「この会社と一緒に何かしたい」

という選ばれ方につながっていきます。

だから私は、「伝える」ことも経営戦略の一つだと考えています。

誰に、何を伝え、どんな関係をつくっていくのか。

これは単なる発信施策ではありません。


6.これは、人的資本経営の話でもある

人的資本経営というと、

研修
キャリア支援
健康管理
働き方改革

などを思い浮かべる方も多いと思います。

もちろん、それらも重要です。

ただ、人が力を発揮するためには、働ける状態を整えるだけでは足りません。

自分たちの会社が何を大切にしているのか。
何を基準に判断するのか。
自分の仕事が、会社のどこにつながっているのか。

そこが分からなければ、社員は迷います。

睡眠も、会社の軸も、人が力を発揮するための土台

私は企業向けに睡眠の講演や研修も行っています。

睡眠について話しているのは、単に「よく眠りましょう」と伝えたいからではありません。

睡眠を整えることは、人が本来持っている力を発揮するための土台を整えることです。

同じように、

会社の考えや判断基準を整理し、社員が理解できる状態をつくることも、人が力を発揮するための土台です。

身体や心の状態を整えること。
会社の軸を整えること。

入口は違っていても、どちらも目指しているのは、

人が力を発揮できる会社をつくること。

です。


7.AI時代だからこそ、自社を語れる会社が重要になる

AIを使えば、

会社紹介文
採用メッセージ
営業資料
SNS投稿

など、整った文章をつくることは以前より簡単になりました。

これからは、「きれいな文章をつくれること」だけでは差がつきにくくなります。

一方で、

「自分たちは何を大切にするのか」
「何を選び、何を選ばないのか」
「なぜ、この仕事をするのか」

は、会社自身が考え、決める必要があります。

どれだけ整った文章をつくっても、社員がその意味を理解していなければ、実際に人と接した瞬間にズレます。

だからAI時代に必要なのは、

自分たちは何者なのかを理解し、自分たちの言葉で語れること。

だと思っています。


8.地域に根づく会社にこそ、自社を語ってほしい

地方には、その会社にしかない価値を持つ企業がたくさんあります。

長く受け継がれてきた技術。
地域とのつながり。
長年続いてきた取引先との関係。
社員が守ってきた文化。

でも、それが経営者や一部のベテラン社員の中にしかなければ、次の世代にも、これから入る社員にも、社外にも伝わりません。

まず、働く条件を整えることは前提

ここで大切なのは、

「会社の想いが伝われば、給与や条件が悪くてもいい」

という話ではないということです。

給与、休日、労働環境など、働くための基本的な条件を整えることは前提です。

極端に低い給与や、働き続けることが難しい環境のまま「理念に共感してください」と言っても、選ばれません。

それでも、条件だけで選ばれ続けるのは難しい

そのうえで、人口減少や採用難が進む地域では、条件だけで大企業と競い続けるのも簡単ではありません。

だからこそ、

「なぜ、この会社なのか」
「ここで働く意味は何か」
「この会社は何を大切にしているのか」

まで伝えられることが重要になります。

地域に根づく会社には、その会社にしかない価値があります。

その価値を、経営者だけが知っている状態から、社員も理解し、自分の言葉で語れる状態へ。

ここは、これからますます重要になると思っています。


9.社員が自社を語れる状態をつくる

社員が会社を語れること自体がゴールではありません。

大切なのは、

会社の考えを社員が理解し、
判断や行動に使い、
その会社らしさが社外にも伝わっていくこと。

です。

語れる会社は、判断できる会社でもある。

そして、

会社の価値が、社長の頭の中にあるだけのものから、社員が使える組織の力に変わっていく。

弊社は、会社の考えや価値、判断基準を整理し、社員一人ひとりが自分の言葉で会社を語り、判断し、行動できる状態をつくる支援をしています。

人が力を発揮できる状態をつくる。
会社の中にある価値を整理する。
そして、それを社内外に伝わる状態にする。

これが、株式会社three jobsが取り組んでいることです。